YANGTAE KANG
総合広告事業で、
私は、ブランドの認知、商品の売上、
さらに社員のやる気も高めています。
株式会社デイリースポーツ案内広告社
営業部
姜 陽泰
目にするものの多くが、実は広告だ。テレビCMや電車の中吊りはもとより、記事だと思っていたネットニュースも、女性が手に持つトートバッグも、ふと手にしたフリーペーパーも。そうしたありとあらゆる広告媒体を総合的に取り扱っているのがデイリースポーツ案内広告社。「プチプラ」と呼ばれる低価格コスメを展開するクライアントに、ネットメディアの提案をした営業部の姜は、その直後に絶体絶命のピンチに見舞われる。一体何が起きたのか。そしてそのピンチを姜はどう乗り越えたのか。
いくつもの事業領域にまたがって広告代理業を営むDACグループの中で、いわば中核を担っているのが当社です。社名に「デイリースポーツ」とあるのは1962年に創業した当社が、スポーツ新聞「デイリースポーツ」の媒体を扱っていたことの名残ですが、実は資本関係はなく、スポーツ紙がメインというわけではありません。当社はテレビ、ラジオ、雑誌、新聞、WEB、交通、屋外などあらゆる媒体を扱っており、近年ではテレビCMが増加傾向にあります。社内の営業部は、媒体ごとにグループがわかれており、私の所属するグループはテレビCMや映画とのタイアップなどに注力している最中です。
これは当社の特徴ですが、新たなクライアントとのお付き合いは、個々人の裁量に委ねられています。ネット広告を見て気になることがあったり、好きなスポーツウェアブランドがあったりすれば、自ら連絡を入れて提案するスタイル。現在私が担当しているクライアントも、自分で切り拓いたものが中心です。今回お話しする化粧品会社も、何気なく目にした駅貼りポスターが発端でした。広告はそれほど街で見かけない割に、ドラッグストアに足を運んでみると、店頭はとても充実している。商品の売り出し中なのに、さほどコミュニケーションには力を注いでいない印象でした。
広告営業をしていて面白いのは、どれだけ吟味して提案したとしても、それを上回るアイデアが先方から出てくることがあることです。幸いなことに、当社は本当にどんな媒体でも扱えますので、いただいたアイデアを元に提案をブラッシュアップすることができる。今回の化粧品会社でも、駅貼りポスターを目にしたため、当初は電車内の広告を提案していたのですが、クライアント担当者さまから「いまはネットメディアではないか」というお話しをいただき、WEBのキュレーションサイトへの出稿を提案し直したという経緯があります。
キュレーションサイトというのは、「今シーズンオススメの着こなし」のように、テーマ記事の中で商品を紹介する手法をとっています。クライアントの主力商品は低価格で高機能なファンデーションだったため、記事の中でも目立たせることができる。しかし、私たちは不運なトラブルに巻き込まれてしまいました。そのキュレーションサイトが閉鎖されてしまったのです。すでに契約を済ませ、ご入金もいただいていた私は、返金の可能性も考えながらクライアントに事情の説明に行きました。せっかくチャンスをいただいたのに申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、担当者さまから「姜さんの責任じゃない。同じ金額で同じ効果が出るような別のプランを持ってきてください」と言われ、至急、代替案の検討をはじめました。
大急ぎで私は、WEBと紙、商品ターゲットに合致したふたつの雑誌媒体をご提案しました。無事に出稿はできましたが、トラブルをカバーしたために、当社の利益はほとんど出ない案件になりました。決して美しいプロジェクトのはじまりではありませんでしたが、その後、同ブランドの動画を全国8ヶ所の屋外大型ビジョンで配信させていただくなど、良好な関係が続いています。動画の配信は、クライアント社内や取引先からもご好評だったようで、商品の売上に貢献する以上に、意義のあるソリューションになったと思います。
世に出た広告がある一方で、もちろん採用されずにお蔵入りになった企画は山ほどあります。当社は新規でお取引をさせていただくことになったわけですから、クライアントは別の広告代理店と長い付き合いを持っている。つまり、私たちの提案を受け入れてもらうためには、ありきたりの案ではなく、とがった案を見せる必要があるんですね。媒体力も大事だけれど、提案の質・量、スピードなど、営業力は非常に大きな武器です。泥臭く、人間臭いのも当社のカルチャーかもしれません。化粧品会社に対しては、引き続きテレビCMやコーポレートサイトの刷新など、次の一手も提案していきたいと思っています。